| 社史・記念誌の参考事例集 |
110番内容D
「本の完成後に大きなミスを見つけてしまいました」
●「長い間の苦労の末に、やっとわが社の社史が出来上がり、印刷所から納品されてきました。刷りたてのインクのにおいに胸を躍らせながら制作プロジェクトの仲間で出来栄えをチェックしていたそのとき、「アアーッ!」という絶叫が一人のメンバーから……。それは巻頭カラーページの中のあるページでした。わが社の50周年記念式典の模様を紹介した写真ページで、祝辞を述べられる得意先の専務さんの肩書きがなんと「○○株式会社事務取締役」になっているではありませんか。わが社の最も古くからの納品先の最古参の役員さんで、言葉では言い尽くせないほどお世話になってきたいわばわが社の恩人です。出来上がった社史を遅くとも1週間以内にはお届けしなければなりませんが、このままでは持って行けません。何か良い解決策はありませんでしょうか」
お答え
本づくりに長くたずさわってきた私どもも、お聞きするだに胸が苦しくなるような失敗ですね。どれくらい満足いただけるか分かりませんが、解決策をいくつかご紹介しますのでご検討ください。
(1)正誤表をつくって入れる
ご説明するまでもない方法です。いちばん一般的ではありますが、この場合ほとんど何の役にも立たないですね。次に行きましょう。
(2)訂正シールを貼る
これは訂正シール用の用紙に訂正文字をたくさん印刷し、台紙から剥がして訂正箇所に貼るようにしたものです。正誤表よりはよいかもしれませんが、「ここに誤植をしました」と読まない人にまで知らせる効果をもちますので、間違えられた本人もあまりうれしくない方法です。
(3)「切りかえ」
これは上の二つと比較するとかなり高度な職人技になります。失敗したページの裏表を1ページ単位で印刷し直し、ミスのページをのど(とじ目に一番近い辺)のところで切り取って、新たにに印刷した紙を差し込み、奥の方で貼り付けます。切ってとりかえるので「切りかえ」といいます。熟練した職人がやりますので、普通に見たのでは貼りかえたことはまず分かりません。1箇所につき数百円〜1000円のコストがかかります。
(4)消しゴムで消す
切りかえに比べると、こちらは職人の裏技に属するものです。時間がないときの緊急手段ともいえます。「○○株式会社事務取締役」の「事務取締役」を消しゴムで消してしまうのです。印刷してあるのだから消しゴムでは消えないだろうと思われるかもしれませんが、消えます。何度もこすれば消えるのです。特にグラビヤなどのコート紙(塗工紙)のページは消しやすいです。これも一考に値する方法です。
(5)刷りかえ
これは最もまっとうな解決策です。ミスの部分を直した上で、本を全部印刷し直すのです。本来ならこれが当たり前の方法です。しかし、当然大きな費用がかかりますし、今回お尋ねのような急場には間に合いません。
失敗をしますと、以上のような解決策の中からどれかを選ぶことになりますが、どれもあとにほろ苦い記憶を残します。頑張りに頑張った一世一代の大仕事で、悔いを残してしまいます。そうならないために、何度も何度も確認をしなくてはならないのです。「社史づくりを成功させる‘八原則’」に掲げたとおりです。
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