書き手がはみ出すというのは、書き手の個性がちらりほらりと見え隠れすることである。「正しい歴史を記述する」のであっても、語法はそのことによって必ずしも制限されるというものではないだろう。一定の約束事として踏襲的に表現される部分はマンネリというデメリットとともに安定感というメリットをもたらすのであり、書き手の自由にまかされた部分は、逸脱の不安というデメリットとともにユニークさ、新鮮さ、気軽さというようなメリットをもたらす。
オーソドックスの踏襲と逸脱。求められているのはそのバランスであり、かつ、そのどちらにも長けた職人性とアーティスト性である。