校正畏るべし|社史職人からのメッセージ|社史制作・記念誌制作26年の牧歌舎

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社史編纂・記念誌制作

社史職人からのメッセージ

校正畏るべし

 新聞や雑誌、本などの印刷物において、間違い(誤植、校閲・校正ミス)を完全になくすことは永遠のテーマです。大手の新聞でさえも、一字一句丹念に読んでいくと一つや二つのミスが見つかるものです。人名や社名表記、写真の間違いなどは後日紙面の隅に「お詫びと訂正」が掲載されることがありますが、第三者に不利益が及ぶことのないような小さなミスは大抵そのままです。
 以前、ある全国紙の地方版で「洪水常襲地域」とすべきところを「常習」と表記しているのを見つけました。記者が原稿を書き整理部がチェックをし、さらに専門の校正者の厳しい目を逃れて世に出てきたわけですから、思わず「誰にも気づかれずによくぞここまで生き延びてきたな」と、妙に感心してしまいました。またある時は、これも全国紙の夕刊の記事で「業績」が「業積」となっているのを見つけてその新聞社に電話したことがありますが、出た人が「そんなはずはありませんよ」と言うので「でも違ってますよ」と言うと「そんな間違いをするはずがありません」と言い張るので、「夕刊の第○版ですよ。今私は見ているのですから」とこちらも頑張ってやっと見てもらい、間違いを確認してもらったことがありました。
 聞くところによると、百科事典の校正というのは7回くらいやるのだそうですが、それでも発行後には多数のミスの指摘が読者から寄せられ、第二版、第三版と版を重ねる中で修正していくようです。私も、高校一年の時に新しく発行された和英辞典を買ったのですが、卒業するまでにその中に何カ所も単純な誤植があるのを見つけ、版元が英語の辞書では非常に有名な出版社だったので失望してしまった経験があります。また、国語辞典でも、有名出版社の定評ある辞典が「全面改訂」されたというので購入して使っていたのですが、ある時、一つのやや長い見出し語が、その末尾の所で次の見出し語と五十音順になっていないのに気づき(順番が逆)、「こんなミスもあるんだなあ」と妙に感心してしまったことがありました。
 新聞や雑誌は時間的に厳しい制約があるので仕方ない面もあるでしょうし、もっと時間の厳しいテレビではテロップに誤字が入るのは珍しくなく、これらは社会的にはある程度許容されています。また辞書や辞典を含む一般出版物は、上述のように改訂することもできます。
 ところが、社史や記念誌はそうはいきません。何十年に一度しか作られない社史や記念誌は改訂のない永久保存版なので、ミスがあればそれも永久保存されてしまいます。さもなくば「全冊刷り直し」です。一度だけ経験がありますが、これはある重要人物の名前を誤記してしまったケースでした。「義男」が「義雄」になっていたというようなことでしたが、役員間で相談した結果、訂正シールを貼って訂正するのは失礼に当たるということで、2,000部全部が刷り直しと決定されたとのことでした。
 このミスの原因は、その人名の書かれている元資料がそもそも間違っていたことでした。人名だけは絶対間違ってはならないと、編纂委員や弊社の校正者、編集者が目を皿のようにして見比べ確認した、その資料が間違っていたのです。
 まさに「校正畏るべし」。私は、世の中で最も慎重に校正が行われている印刷物は薬のラベルと説明書ではないかと思うのですが、社史、記念誌の校正・校閲もそれに劣らず、完璧を期したいものです。

(編集制作担当 匿名希望)