102. 心|牧歌舎随々録|エッセイ倶楽部|自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

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エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

102. 心

 悲しみや恐怖を避けるため、人間の心というものはどのようにも変わりうるものである。どんな残虐や冷酷をも自らに許せもすれば、どんな残虐や冷酷をも許せなくもする。それほどにも変わるものが心であるなら、人間や、心というものを、あらかじめ定義しようはない。つまり、あらかじめ定義しないのが正しいのであって、これを担保するために自由が意味をもつのである。あらかじめ定義できないということは、主観的にはどのようにも定義できるということである。またそれがどのように変化してもよいということである。人間や心というものが定義されてしまうよりも、定義されない方が本来は正しい。いろいろな必要や都合から、特定の定義が押しつけられる場合もあるが、そうしたこわばりはできるだけ速やかに溶かし去るよう努めなければ、本来的な正しさは確保できないわけである。

1999.08.14