自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

110. 親子の情

 親子の情ということで言えば、それを特別なものとして閉じこめる方向に考えるのでなく、それを他人にまで拡げる方向で考えるのでなければ結局はだれにとっても幸福にはつながらないのである。親子、兄弟、親戚、同郷人、同県人、同国人、同民族と、近しいものの順に強い愛情や親近感をもつのが当たり前だという人がいるが、それがたとえ本能にもとづく傾向であるにしても、克服すべき負の習性としてとらえるのでなければ、その逆の方向、すなわち近しいもので排他的に固まる傾向、争いを引き起こす方向へと進んでしまうのである。

1999.10.19