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●原稿作成の方法論

 社史の執筆では「一から原稿を書いてください」といわれる場合と、「社内で書いたので、これをリライトしてください」といわれる場合がある。どちらがいいかは判断が難しいところ。社内で執筆が可能なら、その方が中身の濃いものになる可能性は高い。なぜならライターはしょせん部外者で、社内のことにも業界の事情にも通じていないからだ。

 ただし、リライトには幅がある。両極端をあげると「社内原稿をできるだけ生かし、表現のおかしいところだけ直してください」と言われるケースと、「社内原稿は下書きと考え、遠慮なく改稿してください」と言われるケースである。前者ではふつう資料提供や取材はない。後者は一から原稿を書く場合とほぼ同様のプロセスを踏み、関連資料を読み、ヒアリング取材を行ったうえで入念に改稿する。最終的にどちらが良いものになるかは言うまでもないだろう。

 社内事情に通じた人が書く方がいいのは事実だが、社内原稿そのままでは不完全な文章になってしまうことが少なくない。よくあるのは「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」は詳しく書かれていても、「なぜ」や「どのように」があいまいな原稿である。前の4項目に比べ、あとの2項目は言葉に置き換えるのが難しいから、ついついそんなことになる。書いている人は社内事情に通じているものだから、わざわざ書かなくても読み手はわかってくれるだろうと思いがちなのだが、社内の事情をよく知らない人が読むと、頭の中が疑問符でいっぱいになったり、読み進むのが苦痛になったりする。

 保管資料なら別だが、社史として残すなら、新入社員や関係会社の人にも興味深く読んでもらいたいものである。だからリライトはしないわけにはいかないが、原稿にあまり手を入れるのは社内執筆者に失礼にあたらないだろうかと、気兼ねしたり心配したりされる担当者の方もおられるようだ。そうした事態を避けるには、社内協力者には資料やデータの収集、ヒアリング取材の対応をお願いし、執筆はライターに任せてしまうのが最善の方法になるだろう。


(東京本部 スタッフライター 馬場章吾)



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