筋ジストロフィーと闘う数学博士として知られる宗本智之さんは、2008年8月発刊のエッセイ集『私の世界』を皮切りに、2009年7月『画集 心の旅』、2010年12月に『七色の詩』を牧歌舎から出版された後、2014年8月に『句集 かたこと—旅始』を上梓して俳人としての活動を始められ、昨年6月には続編『句集 かたこと—旅人』を発表してその後の進境ぶりを示されました。
宗本さんの主な発表の場は朝日新聞の「朝日俳壇」で、何度も入選して高い評価を受けていますが、先日11月11日にも大串章先生選で首席入選しました。作品は、
露の世やけふを必死に使ひ切る
大串先生の選評は、
【評】第一句。儚(はかな)いこの世だけに一日々々を大切に生きたい。「必死に使ひ切る」に迫力あり。
というものでした。
続いて11月25日には「NHK俳句」でも作品が取り上げられ放送されました。
寝たきりの状況に置かれながら、特殊な改造を加えられたパソコンを利用し、わずかに動く指先でその思いを俳句に託してたくましく表現し続ける宗本さん——。ますます深まる句境から、どのような新作が今後生まれてくるかが注目されます。
ちなみに、当ホームページのトップページのフットスペースでは「牧歌舎 折々の句」として、次の作品を紹介しています。
積み上がる本音は滝に暴露する(宗本智之)