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日盛や動かぬ蝶の息づかい
——「夏」より
黒いマントの怪物は
何だか怯えているように見えた
深々とかぶった仮面の下では
一体どんな眼をしているのか
こっちへおいで 私のところへ
あなたが死に神でも構わない
——「臆病者」より
37年間の教職生活を終え、ようやく、自分の勤めをやり遂げた思いで今日を迎えています。ここにきて過去を振り返ることのできる余裕がもてるようになりました。中学校教師として、自分では精一杯生徒に接してきたと思っています。数多くの素晴らしい思い出を生徒からいただきました。その思い出を整理してみたくなり、執筆に至りました。……これから教師を目指す人、又、教師・管理職になって頑張っておられる方々に少しでも参考になれればと思い整理してみました。
——「序」より
亡くなる数時間前に「あけちゃん……」と言った母。私を呼んだ母の真意を今も考えてしまう。「あけちゃん、助けて」なのか「あけちゃん、ありがとう」なのか「あけちゃん、達者で暮らせよ」だったのか。私の名前の後にどんな言葉が続いていたにせよ、母が家族と共に希望を持って生き抜いてくれたことを最大限に褒めてあげたいと同時に母のことを誇りに思いたい。そして家族を信頼していた母に対して、いくら母のためとは言え、癌の告知以来10ヶ月、嘘をつき通した私達を、どうか許してほしい。
——本文より
今、私は神戸市郊外のマンションで療養生活をしていますが、窓から見える四季折々の美しい山々、そして澄み渡る青い空と緑の木々等を、一日何回も見ることにより心が癒され、励まされています。平成16年8月24日に、粗句を纏めて「ちどり」という俳句集を作らせて頂きました。このことは私の最大の慶びでした。また深呼吸した私の心に響いた事は「文を書く心」に気づきました。「幼い頃の思い出」「両親との触れ合い」「素晴らしい人達との出会い」「いろんな経験をさせて頂いた数々の思い出」等を綴ってみようと決心しました。
——「はじめに」より
ひとつの小さな作品世界を作ってみました。読んでみて何処かに連れて行かれるような感じをなんとか工夫して出してみようと試みました。勿論、その何処かは地獄や天国ではありません。強いていうなれば煉獄です。煉獄は罪を清めるところです。これまで長い間に感じたり、考えたりした過程で得たものを作品の中に凝集してみました。結晶成分のみですから綺麗なものにしたいと思いました。
——「あとがき」より
花かえで書写の七坂石仏
この句集に出会うことによって、私は花かえでの美しさを知った。また久さんをより深く知ったと言ってもいいと思う。
——加藤三七子「句集『花かえで』に寄せて」より
歩きたいのに歩けない
その原因が
心不全とは知らなかった
——「大変だ(II)—歩けない—」より
……サラリーマン人生を終え早いもので一年一〇ヶ月、アッと云う間に過ぎ去った感だが、その間、何をして過して来たのか、この自分史の執筆以外、思い当たるものも無い。如何に安易に惰眠を貪って過してきたか、反省させられるこの頃である。
——「あとがき・所感」より
美人画に出会いし後の風薫る
花の名をポピーといいぬ風の中
……「事実は真実の敵である」とは、まさに云い得て妙である。この「歴史的真実もまた仮想現実である」という考えに立って、私なりに想に随い、筆に随って書き連ねたものが、以下の章である。表題を『仮想古代史』とするゆえんである。一科学者の仮想した日本古代史である。
——「序に代えて」より
……急行銀河に揺られて大阪の地へやって来てから四〇年の歳月が流れ、今や白髪混じりの頭髪も薄くなり、髯もほぼ真っ白に染まる年齢となりました。……これまで生きてきた確かな証を残しておきたい思いに駆られ、本書を出版することにしました。掲載した内容は、これまで私が綴ってきた折々の日記の中から、皆様に紹介できるものを選んで編集致しました。思いつくままの拙い文章ではありますが、退屈しのぎに目を通していただければ幸甚に存じます。
——「まえがき」より
きょうは けんくんが 川にはいらず おがわの土手に はえているねこやなぎの木の えだをおって まるくて やわらかい 毛のような ねこやなぎの 花を ほっぺたに あてた。 なにか おかあさんの やさしい手で さわられているようにかんじた。 けんくんは ねこやなぎの 花が だいすきだ。
——「おがわ」より
ほったらかしでもじゃがいもは芽を吹きて宇宙に向かい大きく背伸び
……援護の砲撃が終ると同時に同時に私達は、半壊した土塀を飛び越えて敵陣に突入しました。私は、分隊の先頭を切って土塀を飛び越える一瞬、「怖いなあ。」と思いましたが、後は夢中で、着剣した銃をしっかりと握りしめ……一方の突角陣地に突入しました。
——本文より
水底に石光り合ひ秋日濃し
——「秋」の部より
あたしにわかるように
あたしにしかわからない方法で
時々、
「とくべつ」の証しがほしくなる
宛名のなき封筒に
わが過去のすべてをつめ
罪多き過去と追伸し
宇宙の彼方へ送りたし
——「追伸」より
沿ひゆけば川面にネオン映りゐて
秋篠川の夜は美はし
——第一部より
死ぬことが怖いんじゃない
失うことが恐いんだよ
人の心を傷つける事の如何に容易く
人の心をいたわることの如何に至難であることか
私は工務店の経営者、建築士としてたくさんの家を建ててきましたし、修理やリニューアルも多数手がけてきました。そうした家づくり27年の経験の中で、実にさまざまのトラブルや問題点の実例に接してきました。その体験をふまえて、家づくりで注意すべき基本的なポイントをまとめたのが、これからご紹介する20の「目の付け所」です。
——「はじめに」より
港には客船や軍艦やいろいろな船が停泊していた。行列して進む私たちは、初めて見るアメリカ兵から、前身にDDTを噴射された。私たちの船は駆逐艦「波風」だった。掲げられていた日の丸の旗を仰いで涙が溢れた。日本! 日本! 日本へ帰れるのだ。そして二か月ぶりに米飯のおにぎりが配られて、私はまた泣いた。
——本文より
日誠堂制作・牧歌舎編集作品
…朝食の用意をする私のそばを「おはよう」の声が通りすぎる。初めは私の腰のあたりから、かわいい「おはよう」の声が——次第に背中あたりからの元気な声に——そして肩越しに声変わりした声が——いつのまにか頭の上の方から大人の声で……。
——本文より
出版倶楽部制作・牧歌舎編集作品
「誰何!」……闇の中で敵兵がうごめいた。見つかった! 誰もが瞬間そう思った。が、その時もう誰もがその黒い声のしたした所へ銃剣を突き刺していた。五、六人いた。声も出さずに死んでいった。……そしてまた前進だ。何もなかったように……
——本文より
日誠堂制作・牧歌舎編集作品
子どもの心に国境はない——自然と生命のドラマに目を輝かせ、未来の主人公たちが今、手作り絵本の世界に集まる
——オビより
出版倶楽部制作・牧歌舎編集作品