<

自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

HOME > 社史編纂・記念誌制作 > 社史本文の構成法

社史編纂・記念誌制作

社史本文の構成法

自社の歩みを記す最適な構成を考える

社史本文の構成法

 社史編纂にあたって、その本文構成をしっかり検討することは、社内で原稿を作るにせよ、専門ライターに委嘱するにせよ、最優先の課題となります。編集委員の方全員と、ライター、編集者で十分にディスカッションして決定しなければなりません。ここでは社史本文の要素を分けて、その構成方法解説します。本文構成は最終的には非常に複雑になることもあり得ますが、企画検討にあたってこのページに説明してある事項を十分に考慮してあれば、以後の変化や複雑化にも無理なく対応することができます。「初めて社史を作る場合」と「先行する社史がある場合」に分けて説明します。

初めて社史を作る場合

 社史本文を構成する要素としてはどんなものがあるかを説明します。

・通史編(紀伝体と編年体)

 「通史」は会社の始まりから現在までを年代順に記述する、社史の中心部分です。制作会社によってはこれを「正史」と呼んだりしていますが、「正史」は「外史」に対応する言葉で全く別の概念ですから、「通史」の意味で「正史」を使うのは誤用です。始まりから今までを通して書いた「通史」が社史のコアであることをまずはっきりと認識しておきましょう。なお、社史は「編年体」か「紀伝体」かということをよく尋ねられますが、通史については歴史上の出来事が基本的に時系列(起こった順)で記述されますので一般的には編年体と説明されることが多いようです。しかし、よくよく考えると、通史は実は「紀伝体」と考えるのがより適切と思われます。
 歴史の記述法は歴史書の大先輩である中国をモデルにして論じられてきたのですが、その二大潮流が「紀伝体」と「編年体」なのです。司馬遷の『史記』に始まる紀伝体は、帝王を主人公としてその一代を語る「本紀」と、主だった臣下や出来事を取り上げて語る「列伝」が二大要素となっています。「本紀」の「紀」と「列伝」の「伝」をとって「紀伝体」と言うのです。
 このことを社史の「通史」について考えてみますと、確かに記述は時系列が基本になっているから編年体だと言われるのですが、実は「紀伝体」の「本紀」だって時系列で書かれているのです。だとすれば、通史は基本的に「本紀」であって、その中に「列伝」がちりばめられていると考えることもできます。むしろ、そのほうがしっくりくるのです。
 社史にはもちろん「帝王」はいませんが、経営されている「会社」こそ経営陣や社員が無条件に最高価値を置く「帝王」といえます。その一代記が書かれ続けているのが「通史」だと考えればものごとははっきりするのではないでしょうか。「列伝」はその中にちりばめられていたり、あるいは次項で述べる、通史のほかに設けられる「テーマ編」で特定の人物やプロジェクトや製品や技術に焦点が置かれて記述されるのを「列伝」と考えれば、社史はやはり「会社」を帝王とする、本質的に「本紀」であると考えるのが至当です。
 では編年体の社史とは何か、といえば、それは「クロニクルスタイル」ということになります。これは記述文が連続性をもって流れていく「通史スタイル」と異なり、年ごとに定められたスペース(例えば見開き2ページ)の中に、その年に起こった主な出来事が起こった順に新聞記事のようにパッチワークの形で並べられるものです。これですと、年ごとに起こった出来事を一目瞭然に見渡すことができます。
 そういう意味では便利なのですが、例えば何年もかかったプロジェクトの記述などは年ごとにぶつ切りにされることになるので、プロジェクトの推移を辿るには適していません。このクロニクルスタイルは多くの異なる具を次々と入れた巻き寿司の断面のようなもので、一本々々のかんぴょうとか卵焼きとかきゅうりとかシイタケとかカニカマとかの形や長さはとらえることができないのです。やはりこれらを時の流れの中で適切にちりばめ、あるいはテーマ編として「列伝」化した紀伝体こそ社史の書き方の王道といえるようです。
【<区切り>と<くくり>】
 こうして、「通史スタイル」の通史は、時系列をたどりながら、「クロニクルスタイル」のように一律に1年単位でまとめるというようなことでなく、年をまたいで書かれるべきことはそれに応じた幅を持たせて表現していくことになります。この場合、どこまでをひとくくりに記述し、どこで切るかということを常に考えて、最善の形にまとめていかねばなりません。この工夫を私たちは通史スタイルの社史をバランス良く整えるための「<区切り>と<くくり>」と呼んでいます。
 

・テーマ編

 シンプルな社史は上記の通史編だけということになります。しかし、通史の中の重要事項について、その詳細な記述を通史とは別にまとめたいという場合に、通史(通史編)とは別に「テーマ編」を設けます。この中で重要事項をそれぞれ単独に詳しく記述します。重要事項の並べ方は年代順にするのが普通です。

・部門史編

 経営の柱となる事業が複数ある場合に、事業部門ごとの通史を記述するものです。またこれに「テーマ編」を加えることもできます。部門史編だけでは全体の流れが見えないので、これに先立って会社全体の「通史」(通史編)を設けるのが普通です。


 以上が社史本文の「骨格」を形作る要素です。他にもいろいろな立項の要素があるのでさまざまなバリエーションがあり得ますが、ここで一度まとめます。
 上記の要素で成立する社史本文のパターンは次のように分けられます。

1.通史編のみ
2,通史編+テーマ編
3.通史編+部門史編
4.通史編+部門史編+部門史テーマ編
5.通史編+通史テーマ編+部門史編+部門史テーマ編

 部門史編とテーマ編のバリエーションとしては次のようなものが考えられます。

・拠点史
・関連会社史
・技術史
・プロジェクト史
・製品史
・その他

先行する社史がある場合

 例えば、すでに30年史が作られていて今回50年史を作るという場合には次のような対応が考えられます。

1.最近史独立型

 先行する30年史の対象期間には触れず「最近(近)20年史」の形でまとめる。

2.先行略史+最近史型

 30年史対象期間については30年史をダイジェストした「創業(設立)30年までの歩み」(略史)としてまとめ、その後に最近20年史を記述する。

3.先行史+最近史型

 30年史をそのまま再掲し、続けて最近20年史を記述する。

4.一括新規編纂型

 現在の視点から50年史を改めて編纂する方針をとり、「30年史」は資料の一つとみなして「50年史」全体を新規作成する。



 以上のようにさまざまな要素、観点から社史本文の組み立てを考えていきます。「どうすればわが社の歩みを過不足なくしっかりと書き残せるか」をよく考えて決める必要があります。ある程度時間をかけてもこの企画をはっきりさせておけばその後の原稿作成はスムーズに進みます。