「社史(記念誌)の編纂」—といえばどこか優雅でのんびりした響きがありますが、実態はまったく逆。多くの場合、この作業に携わった瞬間から、制作ご担当者になられた方は生涯忘れられぬ労苦の体験に足を踏み入れることになります。
企画立案、資・史料の収集、年表の作成、レイアウト、原稿執筆、装丁の決定にいたるまで、予想外の困難が次々と発生し、一方では「失敗は許されない」という思いが強迫観念化して、ご担当者の耐えなければならない精神的重圧は日を追って増すのが常です。
社史(記念誌)の作り方の基本的なポイントがつかめない。資・史料の集め方が分からない。なんとか集まってもかたよりがある。原稿の記述内容に誤りがないかの点検が難しい。社内からまちまちの意見が出てまとまらない。本の作り方としておかしいところがないか判断できない。
……永久保存の「正史」、また何十年に一度の記念誌制作のご担当者は、責任感と意欲をもって取り組めば取り組むほど、やっかいな問題を次々に抱え込むことになります。最後までへこたれず冷静さを失わない体力と精神力が求められる作業であることを、まず心してください。
社史や記念誌の作り方に関係する資料としてはいろいろなものがありますが、ここでは社史づくりの場合の代表的なものを挙げてみましょう。
各期の業績や事跡、経営環境などが記録されており、中心的な資料となります。
その時々の経営の課題や大きな出来事が取り上げられており、時代の空気が分かります。また、職場の状況なども細かに紹介されている場合があり、社史のためには第一級の資料となります。
社内報を制作していない会社でも、社長の年頭訓辞などを社内文書として配布しているケースは多々あります。また、中長期計画の立案や進捗状況を示す文書、研修・社内教育に関わるもの、福利厚生関連情報など、総務関連文書は社史資料の宝庫ともいえます。
叙勲など栄典授与にあたっては功績調書が作成されます。個人の業績として、会社の歩みがわかりやすくまとめられていることが多いので原稿作成に役立ちます。
PR誌が発行されていれば、発行当時における重点施策や経営方針をうかがい知る貴重な資料となります。また、マスコミに取り上げられた記事とか、業界紙における社長インタビュー記事、新製品紹介記事などは社史に大いに活用できます。
業界全体の歴史を知り、また時代時代の産業上の諸課題を把握するための基礎的な資料となります。
その他、経営者や社員の日記、日報、レター類、写真類、会社案内パンフレット、電話番号変更のお知らせハガキ、社屋移転の挨拶状から古い社用封筒にいたるまで、「歴史的価値」をもつ断片的資・史料の収集も、良い社史をつくるための大切な要件となります。
社史の作り方の基本は「わずらわしさに耐えること」。倉庫の段ボール箱を残らずひっくり返す労力を惜しんではいけません。(※私ども牧歌舎はこの資料整理の段階からお手伝いさせていただいております)
社内になくとも外部の協力を仰げるかもしれません。関連会社があるならその方面からの資料収集も試みます。また図書館などで産業史としての角度から資料を渉猟し、作り方の参考にします。
OBや古参社員に往時の状況を取材します。しかし漫然と話を聞いても、結局期待したほどの情報が得られない場合が多々あります。前もって質問書を送っておくなどの工夫が必要です。
社史・記念誌の完成までに要する時日は、資・史料の多寡、求めるレベルの高さなどによって決まりますが、大型社史(数百ページ)で5年、標準的な社史(100〜200ページ)で1年〜2年、歴史の部分は略史とするタイプの記念誌でも1年程度はみておきたいものです(※)。その間に進められる作業は以下のようなものになります。
(※種々のご事情から時間的余裕がなく特にお急ぎの場合には、当社は独自の特別体制で対応させていただいております。)
社史・記念誌づくりに関わる専門業者としては、印刷所、ライター、ブックデザイナー、レイアウター、DTPオペレーター、イラストレーター、編集者、カメラマンなどがあります。社史編纂の担当者がこれらを自分で指揮して作業を進めることもできますが、最近では印刷所や広告代理店、出版社などが行っている「自費出版サービス」を利用するケースも増えています。いずれにせよ、自社の特情・作り方の特徴に合わせた活用を図るのが賢明です。
私ども“牧歌舎”は原稿作成から編集・制作までの一部あるいは全部について責任をもってお引き受けいたします。経験豊かな自社スタッフが直接ご要望に対応しながら、御社のコンセプトに対応した社史の作り方で制作しますので、低コストでレベルの高い作品をご期待いただけます。お見積もりその他何でもお気軽にお問い合わせください。
また、個人的な記念誌などの自費出版物制作も承っております。
※このページは国立国会図書館レファレンス協同データベースでも紹介されています。