自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

社史編纂・記念誌制作

社史に学ぶ

見聞を広げる

 某スーパーマーケット(以下、某スーパーという)の50年史ダイジェストを書かせていただいた。
 かつて小売業界日本一だったダイエーが、創業者 中内功の開設した大栄薬局から始まったように、某スーパーも農業用資材を扱う小さな個人商店からその歴史をスタートさせ、食料品主体の地方スーパーへと発展を遂げるのであった。
 スーパーの栄枯盛衰はわかりやすい。先述のダイエーが経営破綻したことは強く記憶に残っているし、最近も名の知れたスーパーがM&Aで買収され、私の身近なところでも隣町の老舗スーパーが無くなってしまった。
 某スーパーは、堅実な経営を貫き、成長を維持してきたことを50年史に記している。そして、淘汰が進む厳しい業界の中で、生き残る強さを教えてくれる。それは「地域に生きる」ことだと教示する。某スーパーは地方スーパーだ。この視座は大手スーパーには希薄だと思う。具体的に書けないが、店舗展開、地域の産品含む品揃え、プライス、雇用、立地、駐車場、地場の卸会社の存在など、これらすべてが地域に生きるための戦略となっていて、これを強く実践し、地域密着、地域の消費者ニーズ獲得、地域ナンバーワンを掲げている。
 大きくて強いはずの大手総合スーパーが破綻している。生き残る強さとは何か。何をすれば生き残れるか。興味深い内容だ。社史を読むことで、当然、会社の歴史がわかり、そこから企業努力を学び、さらには業界の動向や地域の変遷、あるいは時代背景まで知ることができる。あくまで個人の見解だが、得した気分になれる。
 そんな気分でスーパーに行くと以前とは違うところに目が向く。例えば、店と町の関係は「店舗は小さな町には大きく、大きな町には小さくつくる(仏の学者ルネ・ユーリックの言葉)」、品揃えは時刻によるが「夕方でも今夜のおかずが用意できるのは食料品スーパー特有のノウハウ」などを知り得たからだ。
 国立国会図書館をはじめ、公共図書館や大学の図書館に多くの社史が所蔵されている。社史は社員の方だけでなく、興味ある業界や気になる企業がある方に是非、手に取って読んでいただきたいと思う。社史は見聞を広げてくれる。

 

ライター S.S.