自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

HOME > 社史編纂・記念誌制作 > 風間草祐エッセイ集 > 78.心に沁みるあの言葉-その32- 

社史編纂・記念誌制作

風間草祐エッセイ集

78.心に沁みるあの言葉-その32- 「頭で考えるのではなく形から入る」(帯津良一)

更新日 2026年1月21日


 長いサラリーマン生活の中では、仕事上のトラブル、社内の人間関係、家庭内のもめごとなどで、精神的に追い込まれ、パニック状態になり、にっちもさっちもいかなくなることが、1度か2度は誰にでもあるものである。初めは、会議や飲み会など他人と接するのが煩(わずら)わしくなり、疎外感に襲われ、面倒臭いことに関わりたくないという拒否反応、あるいは逃避感情が生まれる。身体的には、食欲がなくなり、夜、寝付かれなくなる。そのうち、寝ても覚めても、四六時中、同じことに取りつかれている状態になる。本当に悩んでいるときは、日記さえ書くことができなくなるが、内部では大きな変化が起きているにも拘(かかわ)らず、意外と外見からは気づかないものである。このような状況が続くと、精神的に破綻(はたん)をきたしかねないことになる。

 そして、そのような、既に、自分を客観視できない状態に陥っている場合は、頭で考えても堂々巡りになるだけなので、自分の得意とする運動でもして、身体から入るのが良いようである。身体を動かすと血行が良くなり憂鬱(ゆううつ)な気分が晴れるのと、ゲーム形式のものならば、人間、2つのことはいっぺんに考えられないので、一時でも、囚われから解放されることが可能になる。また、休み時間などの短い時間でも、身体を休め楽な姿勢で、気功などの腹式呼吸をすると、思いのほか気持ちは落ち着くものである。

 自分の場合も、初めての仕事と慣れない生活環境で体調を崩しかけたとき、丁度、気功を医療に取り入れた医師、帯津良一の病院が自宅から近かったこともあり、直接、気功の手ほどきを受けに行ったことがあった。帯津は、著書『気功のすべて』や『気功で病気を治す小事典』などの中で、心と身体のバランスを整えるには、本を読み頭で考えているだけではだめで、身体を動かし形から入ることが重要であると語っている。帯津の言葉通り、余り考え過ぎず形から入ることを原則に、昼休みに会社の周辺を散歩したり、ちょっとした時間を見つけて気功を試みたりするなど、心身に良かれと思うことをやるうちに、少々時間を要したが、知らず知らずのうちに、スランプから脱している自分を発見できたというのが、当時の偽らざる実感であった。





風間草祐エッセイ集 目次


※風間草祐
工学博士(土木工学)。建設コンサルタント会社に勤務し、トンネル掘削など多数の大型インフラ工事に関わる傍ら、自由で洒脱な作風のエッセイストとしての執筆活動が注目される。著書に『ジジ&ババの気がつけば!50カ国制覇—働くシニアの愉快な旅日記』『ジジ&ババのこれぞ!世界旅の極意—ラオスには何もかもがそろっていますよ』『サラリーマンの君へ—父からの伝言—』『ジジ&ババの何とかかんとか!100ヵ国制覇』『すべては『少年ケニヤ』からはじまった: 書でたどる我が心の軌跡』『人生100年時代 私の活きるヒント』『風間草祐エッセイ集 社会編: —企業人として思うこと—』など。「社史」を完成した企業の記念講演の講師も受託する。【※「社史」に関して言えば、今は資本金がゼロでも「株式会社」と名乗って起業できるようになりましたから、自分の目算は正しいはずと考えて多くの会社が設立され、その大部分が倒産や廃業する「多産多死」状況になりました。自己過信から簡単に株式会社を設立し、当たらなければやめるだけというのでは準備や覚悟だけでなく、創業の情熱すら稀薄という、企業社会の質の低下が起こります。生き残ってきた会社はどういうハードルをどう乗り越えたかを記す「社史」の役割はさらに大きいものになると思われます。】