記念誌・社史制作の手順 その3

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社史編纂・記念誌制作

記念誌・社史制作の手順 その3

(3)慎重に執筆者選定

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 記念誌や社史本文の、まず通史の執筆者を決めるには、大まかに分けて「内部から選ぶ」「外部から選ぶ」の2つの方法がありますが、望ましいのは「内部から選ぶ」ことです。

 「外部から選ぶ」とは、業界紙の記者とか、「社史・年史専門ライター」とかに執筆を委ねることですが、いくら業界の知識があり、文章力があっても、第三者は「組織の自分史」を書くにはゴーストライターでしかありません。時間的な余裕がないとか、どうしても適任者がいない場合とかに限って「外部ライター」を採用するようにしましょう(「ライター」は力量や専門性で非常にばらつきがあるので注意が必要です。元新聞記者というような経歴だけでなく、社史など長い作品の執筆経験の有無も確かめておく必要があります)。また内部でつくる原稿に文章力などで自信がない場合には、信頼できる専門ライターに「原稿補正」や「リライト」を依頼する方法もあります。文章がたとえつたないものであっても、まずは「内部で書く」という姿勢が大切です。極端な場合は「箇条書き」「口述筆記」でもかまいません。

 「内部から選ぶ」とは、具体的には「社員(役員を含む)から選ぶ」「退職者から選ぶ」ということになります。
 「退職者から選ぶ」場合、基本的にはその方に通史全体をお任せすることになりますが、「社員から選ぶ」場合は、部門別や時代別に担当者を決めて、複数のスタッフによる分担作業で原稿作成するのがよくあるパターンです。
writers  この場合、異なる執筆者による文章なので、1フレーズの長さとか、語彙の選択とか、語順とかにそれぞれの癖とか、特徴とか、個性に異なるものが出てしまうことはやむを得ないことです。一応のサンプル本や現代表記辞典を共有するようにして「文体」「用字用語」「西暦和暦の紀年法」などは統一を図るとしても、どこまでもムリにそろえようとする必要はありません。

 問題なのは基本的な執筆姿勢、方向性の置き方で、このときに「社史制作の5原則」でお示しした「経営史として書く」「内部向け>外部向け」などの原則を執筆者間で周知徹底しておく必要があります。これにより、最も避けるべき「ブレ」を防ぐことができ、全体としての統一感を確保することができます。

 以上が通史の場合ですが、記念誌や社史の本文としては「社史本文の構成法」に示したように、ほかに「テーマ編」「部門史編」などを設ける場合があります。これには下記のようなものが含まれます。

・拠点史
・関連会社史
・技術史
・プロジェクト史
・製品史
・その他

 これらについては、適任と思われる人を在職者、退職者から選んで執筆してもらうか、それらの方々に責任者となっていただいて、外部ライターに資料、取材などで情報を与えて執筆を委嘱するかということになります。編纂委員会としては組織の内部各層、各部門とも入念な相談をしながら、人選を決定します。



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