社史110番
企画が立てられません
「社史を作ることになり、数人でプロジェクトを立ち上げて基本的な企画を作ろうということになりましたが、立派な装丁にするのか簡素な製本にするのかから始まり、誰に配るかとかどんな内容にするかなど甲論乙駁、侃々諤々、百家争鳴の状態で、結局のところ何も決まらず、前に進めない状況です。どうすればよいのでしょうか」
お答え
社史や記念誌を作るときに、多かれ少なかれ最初にそういう局面が現れます。なかなか結論が出ず、「まあそういうことは置いといて」、資料集めやら写真収集やらを始めるケースが多いようですが、結局「企画」の問題は最後までいろいろな場面で判断を問いかけてくることになり、そのつど立ち止まって議論・検討する必要に迫られるのです。
そこで、私たちが「牧歌舎方式」と呼んでいる、私たちの経験に基づいた「効率的で説得力のある」企画の立て方をおすすめします。
それは、何をおいてもまず一番はじめに、その作品を、「内部向け」「外部向け」のどちらに重点を置いたものにするかを関係者で検討し、決めることです。もちろんそれが100対0とかその逆とかになることは珍しく、現実的には51対49とか四分六とかの微妙な違いになる場合もあるわけですが、それにしても、どちらを優先するかを決めることは、その後の作業の順調な進捗のために大きな効果を発揮します。
これを決めた上で、企画としてさまざまなことを決めるわけですが、その大要は下記のとおりです。参考にしてください。
刊行事業の企画(事業内容・日程・事業規模など)
- 発行日を決める
- 周年記念日までに完成させるか、それ以後に完成させるかを検討
- 完成予定日から逆算してスケジュールを立てる。完成予定日の20日—1カ月前までには校正など印刷準備を完了させること。スケジュール立案については「スケジュールが立てられません」のスケジュール例をご参照ください。
- 発行部数を決める
- 本のスタイルを決める
- 本の大きさを決める(A5判・B5判・A4判など)
- ページ数を決める
他社の社史などを参考におよそのページ数を暫定的に決める
- 製本スタイルをを決める(ハードカバーかソフトカバーか)
- ハードカバーなら箱に入れるか入れないか
- ソフトカバーならカバーをかけるかかけないか
●これらについての各種事例データを「社史・記念誌の参考事例集」にまとめてありますのでご参照ください。
- 本文原稿執筆者を決める
- 専門ライターによる作成・社員分担作成原稿のライターによるリライト・その他
刊行物の内容の企画(編集企画)
- 基本コンセプトを決める
- 上記の「総合方針」をさらに詳しく詰めて「基本コンセプト」とする
- 構成要素を決める
- 基本コンセプトに基づき内容構成案を検討・決定
(構成案の例)
- 巻頭写真
- 巻頭挨拶
- 祝辞
- 口絵(思い出のアルバム、各部署、各事業場、各関連会社、製品など)
- 本文(通史、部門史、場所史など)
- 企画ページ(記念対談、記念座談会、OB寄稿、社員寄稿など)
- 資料編(会社概要、定款、役員変遷表、組織変遷図、業績推移グラフなど)
- 年表
- 編集後記
- 奥付
以上をご参考にされて、ムダのない充実した本づくりを進めてください。