社史や記念誌の定番企画に座談会がありますが、これを安易に企画して実施してしまうと厄介になることがあります。たとえば、とりあえずOBに集まってもらって、適当に発言してもらって、それを録音しておいて、後でテープ起こしをして原稿にまとめればいいや、という考えでやってしまうと、中身のない昔話の雑談に終わってしまいます。話があっち飛びこっち飛びで支離滅裂。内容や話のつながりが成立せず原稿にまとめられなくなってしまいます。台本とまではいわないまでも、何を目的として、どのような内容で、どのような流れと方向性で進行していくかを事前にしっかりと詰めて、出席者にも説明して理解してもらう必要があります。
司会進行の役割も重要です。出席者がOBですと懐かしい昔話ですから、多少内容が脱線することもままありますし、誌面には載せられないような話も出てきます。それをどう軌道修正していくかが要求されます。さらに、発言の多い人と少ない人が出てきますので、それをどうバランスさせていくか、うなずいて聞いているだけの人にいかに発言を促すか、まさにmaster of ceremony(MC)としての技量が問われます。
ちなみに、社史や記念誌に掲載する座談会では、次のような留意点があります。
●司会は古参社員の方で、出席者の方々をよくご存じの方が最適です。
●時間は、前後の挨拶を除いて90分程度が適当です。
●出席者が多すぎると一人一人の発言のチャンスが少なくなるので、できれば4—5名、多くても7—8名までとします。それ以上の場合は掲載ページ数を増やすようにします。
●最初は各自の簡単な自己紹介から入り、以後は司会の話題呈示(話題と進行順は前もって準備しておき、出席者に知らせておく)と指名により各自が発言するのが基本です。指名によらない自由発言が出た場合は、司会が「○○さん、どうぞ」と録音文字化の時に発言者名がわかるように名前を呼ぶようにします。
●写真を掲載する予定の場合は、誌面編集レイアウトに使いやすいよう、各出席者の発話中の写真を正面、左前方、右前方からそれぞれ複数枚撮っておきます。
●収録場所は会社の会議室のような静かな場所で、広すぎないことが大切です。応接室のソファだとリラックスしすぎて長く集中できない恐れがあるので通常の椅子にします。
(企画編集担当 田村公生)