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社史編纂・記念誌制作

社史職人からのメッセージ

社史制作のスケジュール管理

 社史の制作期間は通常の紙媒体よりはるかに長く、辞書などと並んで長期にわたるものが多い。その期間は短くて数カ月、長ければ5〜6年になることもある。そんな長い年月をいかに管理して進めていくべきか。社史づくりを大きく資料収集、本編原稿校正、企画ページの実行、デザイン校正など、いくつかの期間に分類していくと作業は効率的になる。

 まずは資料収集になるが、ここで集まる情報の量と質がその後の社史の完成度に大きく影響してくる。まずは情報の選り好みはせずに、どんどん集めていくことが早い収集作業につながる。そこから社史に必要なものを選び、ストーリーを紡ぎだす。長い社史の制作期間のうち、前半の多くの期間がここに費やされている。

 そうして大まかなストーリーが見えてきたところで、本編の原稿執筆が始まる。原稿は史実に基づき、編年体や紀伝体で書かれる。情報が不足していたときはヒアリングや追加情報などを探しながらの執筆になる。多くの場合で本編作成作業が完了すると、全作業の前半がほぼ完了する。原稿枚数などにより執筆期間は異なるが、全期間の折り返し地点に原稿完成時期を設定すると、進行が円滑になる。

 本編がある程度形が見えたころに、座談会やインタビュー、社員紹介、記念式典など、様々な企画ページの準備を進めていく。本編の内容が過去を振り返るものに対し、これらは現在から未来を見据えるテーマのものが多いため、発刊時に古い内容とならないよう、社史の中では比較的後半の短期間で制作することが多い。

 デザイン作業に入るには各ページの素材が揃うことが条件であり、先にデザイン案は練れても完成させておくことは当然できない。そのため社史づくりの後半期間のほぼすべてが、デザイン作成とその校正作業となる。

 現実にはそれぞれの段階でさらに細かなスケジュール管理があるが、どれだけ社史の規模が異なっても、大まかな上記の制作ステップは変わらない。昨今では、そこにウェブ社史の作成や、外国語版、ダイジェスト版の社史をつくるケースも増えている。複雑化してはいるが、それらはあくまでベースとなる社史あっての企画ものという位置づけであることが多く、まずは社史をしっかり作り上げていくことが、それら付随する出版物等の進行を円滑にすることにつながる。

(編集MK)

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