129. プラスαの思想|牧歌舎随々録|エッセイ倶楽部|自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

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エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

129. プラスαの思想

 人間には頭の良い者、そうでない者、力のある者、そうでない者、真面目な者、怠け者といろいろいるのだが、そういう属性を超えたプラスαともいうべき何かが誰にもあって、そこにおいては人間は何の優劣もないと考える。このプラスαは、敢えて説明すれば、人が人ゆえに心に宿す、秘められた、あるいは無意識の詩情ともいうべきものであって、それは詩人によって時に言語化されもするが、広範かつ深遠かつ微妙であるとともに内容が環境に応じて変化する面もあり、決して既成の言葉でカバーできるものではない。
 文明が進歩すればするほど、常に言葉が先回りし、あらゆるものが即座に言葉で説明され分類され処理されていくのであるが、どっこい、人間を含めたこの世界は、そんなザルですくえるものではない。常に言葉が古く、心が新しいのが状況の本質である。言葉が先にあって状況を説明するのではない。言葉にならない状況が常に先にあって、言葉はこけつまろびつ、よろよろとそのあとを追って不完全な説明を試みているにすぎないのである。

2000.03.07