中央集権にしておけば、国力をいざというとき集結できるので安心だという意識が国民にある。天皇制を支えているのもこういう期待であろう。ところが、日本が経済的に弱小国だった時代には、付き物の汚職や特権階級の跋扈というデメリットをもちながらもそれは有効なシステムだったが、裁量行政よりも適正な競争の確保が必要な時代になると、このシステムはブレーキとして働く。中央集権で集中させるよりも、自由競争で底上げされる方が国力は大きくなるとなれば、もはや腐敗だらけの政府に権力を集めておく理由がなくなるのである。必要悪としての官僚システムに、別れを告げられる時代がやってきたのだ。
1998.03.12