人間の運命を決定する最大要素を経済と思い定め、かつ資本主義を最終不動の体制と認めてその中で右往左往する輩の時代。そうした時代風潮および時代常識の一切を否定して生きようとするなら、ルンペンになるか犯罪者になるかぐらいしかないのである。少なくとも、ルンペンや犯罪者と無縁でなく、その延長線上に生活するということになる。
道理を貫いて生きようとすれば、ルンペンか犯罪者になるしかないという逆説
人間はどうせ肌が合わない者同士で生きているのだと、ヤケクソ的諦観に生きる方法もある。
機械文明の発達によって、一人の人間の受け持ち範囲が広くなれば、人間は「個人」に戻りにくくなるのである。個人に戻ると、巨大な不都合が生じたりもする。