自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

135. プラスα

 人間には二通りのタイプがある。一つは、物事はすべからく周到完璧で隈無く至らざるなきをもって良しとするタイプであり、もう一つは、物事は周到完璧を期するものの、常に未知未解明の、人智をもって至るべからざる「プラスα」あることをもって貴しとするタイプである。
 思いつくし考えつくし語りつくしてなお極むべからざる逃げ水の如きプラスαあればこそ、人は自由を確保できる。いってみれば、進歩しつつも常に残されるモラトリアム感覚が、人の自由を保障するのである。
 常にプラスαを、未知の領域を、至らざる空隙を、自由への窓として開いておかねばならぬ。

2000.05.31