自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

040.

 私は必ずしも天皇制を否定しない。純粋宗教の感覚で、現人神とされる人間がいるということなら、それも良いではないかとさえ思う。私が否定するのは、天皇制を利用した権力のピラミッドであり、そのピラミッドの少しでも上の方に取り付こうとする者どもの根性である。このピラミッドは、天皇制がある限り必ず出現するというわけでなく(武家政治のころを思えばよい)、また天皇制が廃止されたらなくなるというものでもないように思う。私は天皇制を廃止するよりも、天皇を単なる純粋な宗教的存在として取り扱うことに徹することで、少なくとも「天皇ピラミッド」は無力化すると思う。天皇の国事行為を廃止し、国賓を迎える公式レセプションなども廃止し、どこか山の中の閑静な宮の中にいて、日本中の神主の元締めとして、御簾の内に静かな隠遁の生活を送るというのがよいと思う。

1998.02.23