強者の論理と感情、強者たらんとする者の論理と感情、弱者の論理と感情、弱者たるまいとする者の論理と感情、そうしたものを併せ持つがゆえに、人間とは多重的であり矛盾をはらむ存在である。
多重性について考えるとき、優先順位を無視した着目は破綻を招く危険性がある。簡単にいえば、理想よりも現実を優先させるべきである。しかし、優先順位を正しく整えて処するということだけが指針になってはつまらないのも事実である。優先順位を忘れ、まず一つ一つの層に無批判に着目してみるという態度も実りある人生のためには大切である。そのへんの頃合いというものは微妙であって、その微妙さの中に個々人の個性もあるといえる。基本は大切、しかし実行は個々のお手際によるのである。
1999.02.04