自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

084. 大企業優先ということ

 大企業が潰れれば大量の失業者が出るのはもちろん、産業経済界に甚大なマイナス影響が波及する。それゆえ大企業は何をおいても守らねばならぬ。そんな「常識」がある。これが明治維新以来日本をリードしてきた理念であるとさえいえる。
 馬鹿なことである。小を捨てて大を取るのは必要な場合もあるかもしれないが、それは必要悪というものである。大だからエライわけでは決してない。万やむをえない必要上、不当に優遇するのであって、その分だけ大企業は小さくなっているべきである。
 しかし現実は逆であった。大企業は国家における権力のピラミッドの最上層部に位置し、常にその力を強めるようヒト・モノ・カネを集中し、いばりくさって弱者を踏み台に成長してきたのである。これにぶらさがって成長した弱者群もあるが、まともな常識をもってそんな状況を懐疑した弱者はさらに下層へとはじき落とされた。前者の弱者群はいまや強者の仲間入り、後者の弱者は、まともな感覚を保つ限りいつまでも弱者たる運命である。

1999.06.11