自費出版-社史・記念誌、個人出版の牧歌舎

エッセイ倶楽部

牧歌舎随々録(牧歌舎主人の古い日記より)

160. 油断ならない?お役所


 社史を制作されるお客より問い合わせがあった。

 消費税が10月から10%になるそうだが、2回払いの1回目を2月に支払い、完成予定の来年2月に2回目を支払うとすれば、1回目の支払額には8%、2回目の支払額には10%の消費税がかかるのか、とのお尋ねである。
 国税庁のホームページで調べると、10月1日以後に完成し引渡す請負契約には、契約金額の総額に10%がかかるので、1回目にも2回目にも10%がかかるようだ。だがいろいろと経過措置のようなことも書かれているので読んでみたが、さっぱりわからない文章である。念のために税務署に電話した。

 上記の通りの状況でどうなるかを聞いたところ、「完成引渡しが10月1日以降なら、その時点での売上となるので、1回目の支払いの時から消費税は10%です」とのこと。そうなのか、と思って黙って聞いていたら、「ただし、例外もありますので、調べますからしばらくお待ちください」と……。

 電話が保留になり、しばらく経って、「3月31日までの契約であれば、最後まで現行の8%です。4月1日以降の契約ならその時点からお支払には10%がかかります」と説明された。

 変なことだ、と思った。今年10月から消費税10%になるというのは前回の延期決定の時からわかっていたことだから、こんな質問は何度もあったろう。なのになぜ即答しなかったのか。
 国税庁HPでの経過措置説明がさっぱりわからないことも併せて考えた。そして何となく、私なりにわかった。

 一応、3月末までの契約については8%という経過措置が決まっているのだが、積極的に公表しないでいるのだ。10月1日以降に仕上がる請負仕事については、そこで売り上げになるのだから契約日がそれ以前でも10%だということばかり強調して説明している。そして経過措置は何度読んでもよく分からない書き方。私のように電話して尋ねてもすぐには経過措置を説明せず、「例外」があるから調べる、と言って、やっとそれがわかるという仕掛けになっているのだ。

 「経過措置」のことを「例外」と言った。おかしいではないか。
 3月31日までそれは積極的に公表せず、それでも「経過措置は設けていた」と後で言えるようにはしているわけだ。4月以降に問い合わせ電話が入ったら「3月中までは猶予期間だったんですがねえ」とか言うのだろう。

 お役所では、生活保護申請をなかなか認めないお役人が評価が高いのだということを聞いたこともある。
 そういうものかと思った。
 暗然たる気持ちになった。

2019.1.30